ソフトバンククリエイティブ「キホン」シリーズ
「太陽電池のキホン」

Updated 2014.02.18

出版社ソフトバンククリエイティブ(株)「太陽電池のキホン」表紙
シリーズ名イチバンやさしい理工系
出版日初版第1刷2011.04.27, 第2刷2011.12.01
出版社ホームページ本書紹介ページ
価格1,575円(税込み)
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正誤表初版第1刷正誤表
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トピックス

日付 内容リンク
2013.12.16電子書籍として出版されました。
2013.08.25韓国のハンサン出版社から「テヨンジェンジウィ キボン」という題名で韓国語版が刊行されました。太陽電池のキホン韓国語版表紙
2012.12.10台湾の三民網路書店から「太陽電池:未來能源的終極王牌,太陽光發電技術」という題名で台湾語版が刊行されました。太陽電池のキホン台湾語版表紙
2012.09.15中国の科学出版社から「太陽能電池大掲秘」という題名で台湾語版が刊行されました。太陽電池のキホン中国語版表紙
2011.12.01初版第2刷(1200部)刊行しました。第1刷の間違いを修正しました。 
2011.11.11正誤表に修正箇所を追加しました。第1刷正誤表
2011.11.07重版(1200部)が決定しました。 
2011.06.09サイエンスポータル「科学のおすすめ本」で紹介されました。 書評コーナー
2011.06.05神尾祐子さんがfacebookを通じて感想をよせられました。書評コーナー
2011.06.01読者からの指摘で、地球が太陽から受け取るエネルギーの値に3桁の間違いがあることがわかりました。
004項(p.16)地球が太陽から受け取るエネルギーは石油換算で年間1000億トン→100兆トン(面目ありません!)
正誤表へ
2011.05.25ライブドアブログ「家庭の太陽光発電システム」で「太陽電池のキホンという本」として紹介されました。書評コーナー
2011.05.16つるかぶとさんがTwitterで本書を紹介しています。書評コーナー
2011.05.15本書が毎日新聞5月15日朝刊第10面(今週の本棚)で紹介されました。
書評コーナー
2011.05.13本書がタウン誌「タウンニュース」で紹介されました。
書評コーナー
2011.05.13この本に関するQ&Aコーナーを設けました。Q&Aコーナーへ

はしがき

ストップ地球温暖化。さらば原発依存。全地球的に持続可能社会におけるエネルギー政策の大転換が求められています。現在、世界のエネルギー供給は、80%を石油、石炭、天然ガスなど炭素をベースとする枯渇性の化石エネルギーに、6%を安全性の問題を抱える原子力に依存しています。持続可能社会の実現は、現在0.2%しかない自然エネルギーの比率をどこまで高めるかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
自然エネルギーの中でもっとも期待されているのが太陽電池ですが、従来のエネルギー源を置き換えるには、まだまだ力不足です。もっと高効率で低コストかつ省資源の太陽電池を開発しなければなりません。このためにはもっと多くの人々が太陽電池に参画し、基礎に立脚した研究開発を進めていただかなくてはなりません。
「太陽電池」と名のつく解説書は、多数本屋さんの書棚に並んでいます。太陽電池に関心のある理科好きの青少年が、一般向け解説では飽きたらず一歩先に進もうと専門的な教科書を開くと、半導体やpn接合というところで、壁に当たってしまいます。一般向けと専門家向けの間をつなぐ理工系の入門書が意外に少ないのです。 本書は、これから太陽電池を学ぼうとする高校生、高専生、大学生、あるいは、他分野で働く社会人が、スタートラインに立つために、太陽電池およびそれを支える半導体、半導体デバイスの基礎知識を提供することを目的としています。
最初は、概略的なところから出発しますが、読み進むにつれて、太陽電池にはどういう科学技術的背景があるのか、今後どういう方向で研究が進むのかについて、多少なりとも理解が得られるようにしました。後半ややむずかしいと感じるところがあるかもしれません。重要な点は繰り返して説明しますので、ゆっくりと読み進めながら1つひとつを理解して頂きたいと思います。そうすれば、太陽電池の基本的事項のほとんどがわかってくるでしょう。
本書が、専門的な教科書に進まれる方のよきガイドになれば幸いです。
2011年3月

目次

各章のカバーの図をクリックすると初版第2刷のゲラpdfを読めます

第1章 太陽光と太陽電池(入門編)

第1章(第2刷)ゲラpdf (001) いまなぜ太陽電池か① 南極の氷が証言するCO2の急増
(002) いまなぜ太陽電池か② 再生可能エネルギーの中でもっとも手軽
(003) 地球に降りそそぐ太陽光のパワーは1.37kW/m2
(004) 地球が太陽から受けるエネルギーは石油換算で年間100兆トン
(005) 太陽光には見えない光も含まれる-太陽光のスペクトル①
(006) 太陽光には見えない光も含まれる-太陽光のスペクトル②
(007) 季節や時間でこんなに変わる太陽光のパワー
(008) 太陽電池の歴史をひもとく そのルーツは19世紀に!
(009) 光を電気に変えるのは太陽電池セルを構成する半導体
(010) 太陽電池セルの中身はpn接合ダイオード
(011) 太陽電池セルのpn接合ダイオードの働き
(012) 変換効率はどのように求められるのか
(013) 変換効率を100%にできない理由
(014) ソーラーパネル(太陽電池モジュール)は多数のセルからできている
(015) 1枚のソーラーパネル(太陽電池モジュール)は何ワット発電できるのか
(016) 夏のギラギラした太陽は大好きと思いきや、太陽電池は暑さが苦手
(017) ソーラーパネルに家電を直結しても動かない理由 直流と交流
コラム 送電線に交流が使われる理由

第2章 太陽電池の要素技術 (中級篇)

第2章(第2刷)ゲラpdf
(018)太陽電池セルには多くの技術が使われている
(019)高品質単結晶シリコンの成長法 浮遊帯域法とチョクラルスキー法
(020)多結晶シリコンインゴットはシリコンの鋳物
(021)同じシリコンでも結晶系と薄膜系の製造工程は根本的にちがう
(022)ガリウムヒ素の単結晶は融液を固化して作る
(023)金属のように透明電極に電気が流れるのは酸素欠損による
(024)できるだけ多くの光を半導体中へ導く① 反射防止膜の役割
(025)できるだけ多くの光を半導体中へ導く① 反射防止膜の工夫
(026)波長域をわけて役割分担 多接合タンデムセル
(027)レンズや鏡を使って光を集める 集光型太陽電池
コラム データは語る太陽光発電の真実① 一日の発電量の変化

第3章 太陽光発電-モジュールからシステムへ(中級編)

第3章(第1刷)ゲラpdf
(028)ソーラーパネル(太陽電池モジュール)の製造工程
(029)太陽電池のテストに使う疑似太陽光 ソーラーシミュレータ
(030)建材としての太陽電池① 設置方法による分類
(031)建材としての太陽電池② 建材として求められるもの
(032)直流を交流に変えるしくみ インバーターの動作原理
(033)太陽電池の出力を配電線に供給する「系統連系」
(034)あなたの家の屋根を借ります 地域集中連系型太陽光発電
(035)各地に次々登場するメガソーラー発電所
(036)スマートグリッドがもたらす電力イノベーション
コラム データは語る太陽光発電の真実② 雨の日だって発電する

第4章 さまざまな太陽電池 (上級篇)

第4章(第2刷)ゲラpdf
(037)太陽電池材料のバリエーション① 太陽電池の分類
(038)太陽電池材料のバリエーション① 太陽電池の比較
(039)こんなに違う!半導体の光吸収スペクトル
(040)75%のシェアを誇る結晶系シリコン太陽電池①
(041)75%のシェアを誇る結晶系シリコン太陽電池②
(042)結晶系シリコンの変換効率チャンピオン 単結晶系シリコン太陽電池
(043)効率は単結晶より落ちるが低コストの多結晶シリコン太陽電池
(044)低効率でも材料コストの安い薄膜シリコン太陽電池①
(045)低効率でも材料コストの安い薄膜シリコン太陽電池②
(046)低効率でも材料コストの安い薄膜シリコン太陽電池③
(047)宇宙で活躍するIII-V族系化合物半導体太陽電池
(048)III-V族系化合物半導体の結晶構造と原子結合
(049)混晶が支える効率40%のIII-V族化合物半導体系太陽電池
(050)低コストで爆発的に普及したCdTe薄膜太陽電池
(051)CIGS薄膜太陽電池の結晶構造と物性
(052)CIGS薄膜太陽電池セルの構造と特性
(053)有機化合物とカーボンのコラボで電気をつくる有機太陽電池
(054)酸化チタンと色素で電気をつくる色素増感太陽電池
コラム データは語る太陽光発電の真実③ 太陽光発電の経年変化はあるか?

第5章 太陽電池のための半導体入門(上級篇)

第5章(第2刷)ゲラpdf
(055)金属の光電効果は太陽電池に使えない 高電圧を加えないと光電流が取り出せない
(056)半導体単体では太陽電池はつくれない 光起電力には半導体の接合が必要
(057)半導体と金属・絶縁体との違い
(058)バンドギャップが決める電気的性質
(059)バンドギャップが決める光学的性質
(060)有機物分子軌道と半導体のバンド構造の違い 色素増感太陽電池を例に
(061)原子が集まって固体になるとバンドができる
(062)電子状態への着席の規則を与えるフェルミ分布
(063)不純物ドーピング① n形半導体とドナー準位
(064)不純物ドーピング② 外来性半導体のキャリア密度の温度変化
(065)不純物ドーピング③ p形半導体のホールとアクセプタ準位
(066)間接遷移を理解する① 運動量の保存則を思いだそう
(067)間接遷移を理解する② 自由電子の波数を考える
(068)間接遷移を理解するう③ 周期ポテンシャル中の電子の波を考える
(069)間接遷移を理解する④ 半導体の光吸収
(070)シリコンは金属でないのになぜ金属光沢をもつのか
(071)半導体の電子は自由電子より軽いってホント?
コラム データは語る太陽光発電の真実④ ピークカット効果は?

第6章 太陽電池のための半導体デバイス入門(上級篇)

第6章(第2刷)ゲラpdf
(072)太陽電池はダイオードの一種 ダイオードの起源は二極菅という真空管
(073)pn接合の界面にできる空乏層と内蔵電位差
(074)pn接合ダイオードの順方向特性 電流は指数関数的に立ち上がる
(075)pn接合ダイオードの逆方向特性 電流は小さくほぼ一定
(076)裏面障壁(BSF)によって効率改善 太陽電池のバンドの断面構造
(077)少数キャリアライフタイムを伸ばすパシベーション
(078)バンドギャップで変換効率が決まる 理論限界変換効率
コラム エネルギーペイバックタイムは2年以下

第7章 これからの太陽電池(上級篇)

第7章(第2刷)ゲラpdf
(079)低コスト太陽電池を目指して 材料・ウェハー化コストを下げるには
(080)高効率太陽電池を目指して
(081)ありふれた材料で環境に優しく 太陽電池の元素戦略
(082)ソーラーブリーダ計画 太陽電池でつくった電力を世界中に
コラム エコ住宅15年を振り返って