物971024
電子物性工学U 佐藤勝昭教官 1997.10.24
第1回(1997.10.17)の学習内容
この授業の位置づけを理解してもらうため、物性、材料、デバイス、システムの関係を「テレビジョンシステム」を例として説明。
第1回の問題
システム/デバイス/材料/物性の関係をコンピュータ、光通信、太陽光発電などの例を1つあげて説明せよ。
回答例(こんなに書けませんが)
システムとしてパソコンを考える。このシステムは、演算デバイス(CPU)、メモリデバイス(DRAM)、外部記録デバイス(HDD, MOなど)、入力デバイス(キーボード)、表示デバイス(CRT、液晶など)、電力デバイス(トランス、整流デバイス、電圧安定化デバイス)などいくつかのデバイスから構成されている。これらのデバイスに用いられる材料を取り上げる。すべてのデバイスを取り上げると紙数が足りないので、CPUとHDDをとりあげる。CPU(central processing unit)を構成する最も重要な材料は半導体材料で、シリコン単結晶が用いられている。0.3mm厚にスライスしたシリコン基板の上には、トランジスタ、ダイオード、抵抗、キャパシタなどが多数作り込まれている。すべての部品を1つの基板の上に作った回路をmonolithic integrated circuitという。(詳しくは「電子デバイス」の講義を聴講して下さい。)トランジスタもデバイスの1つである。キャパシタとしては、シリコンを酸化して作ったSiO2を誘電材料を用いる。また、電極や配線には、Alなどの金属材料が使われている。また、CPUチップは封止材料(プラスチック)にモールドされている。HDD(hard disk drive)の中心部は、平坦なアルミ円盤(disk)の上にスパッタ法で堆積したCoCrTa合金など薄膜磁性材料である。この円盤を高速回転させるためにモータが用いられているが、モータにはNdFeBなどの磁性材料が永久磁石として、コイルにはCuなど金属線が使われている。磁気ディスクに磁気記録したり、磁気再生するための磁気ヘッドにもパーマロイ(NiFe)などの磁性材料が使われている。CPUの動作には半導体物性特に半導体における電子輸送物性が用いられている。(教科書第2章)一方、誘電材料の特性は電気分極という誘電現象が寄与している。また、磁性材料のもとになっている磁気物性をつかさどるのは電子の磁気モーメントである。
質問Q and A
Q: 青色のレーザが何故良いかの説明がなかった。波長が小さいからかと考えたがそれでよいのか。(H2内田) →A: そのとおりです。でも、私は、現在使われている800 nmの波長が半分の400 nmになれば面積が1/4なので記録密度は4倍になると説明したハズです。聞いていなかったかな。
Q: 自分で勉強するときは先生が勧めている教科書を使って良いのか。(H2河崎)→A:どれでも良いから 1冊完全に読破して見て下さい。(細かい式の誘導はどうでもよいですから)
Q: ペリフェラルって何ですか。→A: 「周辺」という意味です。とくに入出力インターフェースのことをいいます。
Q: 農工大の学部卒でどんな会社に就職できるのか。(H2栗原)→A: 今年のH2の4年生の就職した会社名は、下記のとおりです。キャノン、NECソフトウェア(各2名)、NEC、日本IBM、セイコーエプソン、日立製作所、日立マイコン、TDK、NTTドコモ、デンソー、沖エンジニアリング、ミツミ電機、松下電器マレーシア、NECエンジニアリング、松下通信、NTT・TE東京、トヨタ自動車、横河電機、NTTデータ、ニコン、日本システムウェア、日本総研(各1名)です。
Q: 先生の家の太陽電池はどんな用途に使っているのですか(H2沼尻)→A: 系統連携といって、東京電力からの電灯線に直結されていて、家の中で使って余った電力は電灯線系統に供給しています。詳細は、私のホームページの「太陽光発電」の項を読んで下さい。
Q: PHSと携帯電話ではデバイス、材料の観点からは同じか(H2渡邊)→A: 両者は、周波数、伝送方式、電波の電力すべてが違います。従って、使われる半導体デバイスが異なります。私は移動体無線の専門家ではないので、詳しいことは分かりません。宇野先生に聞いて下さい。
Q: 量子デバイスのCPUはもうできているのか(H2阿部)→A: まだ実用化の段階ではありません。
Q: CDROMの読み込み速度はもっと速くなるか。(H1石谷)→A: もっと高速になりますよ。