エレクトロニクスII 佐藤勝昭教員 金曜1限94番教室 2003年度第2回配付資料03.10.10
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教科書:竹村裕夫著「電子回路の基礎」(コロナ社)
ACアダプターを分解しようーダイオードと整流回路ー
ACアダプター
・ 電話機、ノートパソコン、液晶テレビ・・
多くのエレクトロニクス機器にはACアダプターが必要です。電灯線はAC
100Vです。
これをエレクトロニクス機器に必要なDC
6V, 12V, 15Vに変換するのがACアダプターです。
・ AC=alternating current (交流)、DC=direct current (直流)
・ 構成は、トランス、全波整流ダイオードブリッジ、コンデンサーというシンプルなものです。
実体験コーナー
ACアダプターを分解するとトランス、4本のダイオード、 電解コンデンサからできている
ACアダプターの回路図
・ タップつきトランスを用いる方法
・ ダイオードブリッジを使う方法
トランスの役割
・ 電灯線の100Vを必要な低圧に変換
・ 磁性体巻き心に1次コイルと2次コイルを巻いたもの
・ 電圧比は1次コイルと2次コイルの巻き数比で決まる。
整流−半波整流と全波整流−
・
電灯線:交流、正負の極性が時間とともに正弦波的に周期的に変化E=E0sinwt
・ 半波整流:一方の極性のみをとる
・
E’= E0sinwt (2np<wt<(2n+1)p)
・
E’=0 ((2n+1)p<wt<2(n+1)p)
・ 全波整流:絶対値をとる
・
E’= E0sinwt
(2np<wt<(2n+1)p)
・
E’= -E0sinwt ((2n+1)p<wt<2(n+1)p)
半導体ダイオードと整流作用
・ 半導体のpn接合はp側が正のとき、ある閾値を超えると電流がよく流れる(順方向)
・ 逆方向に電圧を加えると
電流が流れにくい
・ ツェナー電圧を超えると
急に電流が流れる
ダイオードを用いた半波整流
・ ダイオードは、スイッチとして働く
・ 負荷と直列にダイオードを入れるだけで半波整流ができる。
ダイオードブリッジを用いた全波整流
・ Aの電位がCより高いとA→B, D→Cのスイッチが開くのでBが正, Dが負になる。
・ Cの電位がAより高いと、D→A, C→Bのスイッチが開きBが正, Dが負となる。
コンデンサの役割は?
・ 脈流をコンデンサで平滑化して滑らかな直流を得る
・ RC回路は積分作用をもち、低域濾波器となる
うんちくコーナー
ダイオードの元の意味は二極管
・ ダイオードの元の意味は、2極管(カソードとアノードのみからなる真空管)です。整流作用をもち、交流を単極性の脈流に変える作用があります。
・ 現在では、2極管と同じ整流作用をもつ半導体素子をダイオードといいます。
発展コーナー
半導体(semiconductor)とは
・ 導体(金属)と不導体(絶縁物)の中間的な導電性をもつ物質
・ 金属では、温度上昇とともに導電性が低下する(=電気抵抗が上がる)が、半導体では温度上昇とともに導電性が向上する(=電気抵抗が下がる)
・ 半導体を特徴づけるのは、そのエネルギー状態に電子の詰まった「価電子帯」と、電子がほとんど占有しない「伝導帯」とがあり、両者を隔てる「バンドギャップ」が存在することである。
半導体の抵抗率
・ (佐藤・越田:応用電子物性工学 図4.2)
半導体の電気抵抗率の温度変化
・ 佐藤・越田:応用電子物性工学
半導体pn接合とは?
・ p形半導体:ホールがキャリアである半導体(例:B(ホウ素)添加Si)
・ n形半導体:電子がキャリアである半導体 (例:P(リン)添加Si)
・ p形半導体とn形半導体を接合すると、電子・ホールの拡散により、接合部に空乏層ができ、拡散電位差が発生する。
・ 整流用ダイオードも、発光ダイオード(LED=light
emitting diode)、半導体レーザ(LD=laser diode)も、フォトダイオード(PD)、電荷結合撮像素子(CCD=charge coupled device)もpn接合が基本
・ (物理システム工学実験I,IIテキスト、Fディジタル回路のp.140「F2 トランジスタでディジタル回路を作る」参照)
pn接合の原理
・ p形半導体とn形半導体を接合すると、p形側からホールがn形側に、n形側から電子がp形側に拡散する。
・ すると境界には、p形側ではホールのいなくなった(負に帯電した)部分が、n形側では電子がいなくなった(正に帯電した)部分ができる。この領域を「空乏層」という。
・ この領域では、正負電荷の間に電位差が生じ、これ以上の電荷移動を防いでいる。この電位差を「拡散電位差」または「内蔵電位差」という。
演習コーナー
ダイオードの動作点
・ 整流性:ダイオードは、理想的にはスイッチと考えられる。
・ 実際には、閾(しきい)特性をもつので、スイッチ動作させるには、ある電圧を必要とする。
・ 動作点とは、ダイオードに実際にかかっている電圧と、流れている電流で表される点
・ ダイオードのIDとVDの関係はグラフで与えられる。キルヒホフの法則からID=(E-VD)/R
・ 両方を満足させるのは、交点である。これを動作点という。
ダイオードの動作点
・ あるダイオードの順方向特性は右図で表されるとする。このとき次の問に答えよ。
・ ダイオードに直列に100Wの抵抗を接続し、直列回路の両端に7Vの直流電圧を順方向になるように加えたとき、ダイオードに流れる電流ID、ダイオードの両端の電圧VD、抵抗の両端の電圧VRを図に負荷線を描いて求めよ。
問題コーナー
・ 配布した紙に学年、学籍番号、氏名、連絡用メールアドレスを書いて下さい。(なければ、学籍番号のアドレスy225***@ug.tuat.ac.jpにメールします。)
・ pn接合ダイオードのI-V特性を測定するには、どのような装置を用意し、どのような配線をすればよいかを考えて、具体的なやり方を書いて下さい。
演習コーナー
あるダイオードの順方向特性は右図で表されるとする。このとき次の問に答えよ。
ダイオードに直列に100Wの抵抗を接続し、直列回路の両端に7Vの直流電圧を順方向になるように加えたとき、ダイオードに流れる電流ID、ダイオードの両端の電圧VD、抵抗の両端の電圧VRを図に負荷線を描いて求めよ。
問題コーナー
pn接合ダイオードのI-V特性を測定するには、どのような装置を用意し、どのような配線をすればよいかを考えて、具体的なやり方を書いて下さい。