胸部の肋骨は脊柱を支点として、前下方に張り出し、上下に運動することによって呼吸運動の一部を担っている。この運動を行う筋肉が肋骨と肋骨との間に張っている各種の肋間筋である。下記の文章の ( ) 内に文章中および図中の記号などを用いて適切な語句を入れなさい。なお、 (オ)は方向を示す用語である。
肋間筋のうち外肋間筋の収縮にともなう肋骨の運動を下に示すような簡略化した模式図で考えてみる。なお、肋骨の両端は脊柱ならびに胸骨と関節を作り、それぞれの関節部位 (図の点O、O’、P、P') で肋骨は自由に運動できるものとする。また、運動によって O-O' および P-P' 間隔はかわらないものとする。
外肋間筋の収縮によって筋肉繊維の走行方向 (S-S’方向) に働いている力を F、 筋肉繊維の走行方向と肋骨とのなす角度をθとすれば、筋肉の付着点 (S、S') で肋骨の走行方向と直角方向に働いている力の成分は ( ア ) となる。すなわち、上部の肋骨に対する筋肉の付着点 S では、下向きに ( ア ) の力が作用し、下部の肋骨に対する筋肉の付着点 S' では、上向きに ( ア ) の力が作用していることになる。肋骨の走行方向に働いている力の成分 ( イ )は肋骨の運動には関与しない。
外肋間筋の収縮力の垂直成分で肋骨を引き下げる回転能力(力のモーメント)は ( ア ) X ( ウ )、 肋骨を引き下げる回転能力は ( ア ) X ( エ ) である。 ( エ ) > ( ウ ) であるから、この外肋間筋が収縮すると肋骨は ( オ )に向かって ( ア ) X [( エ ) − ( ウ )] のトルクで回転運動をすることになる。