「責任感」と「焦り」とJSTフェア

産学連携展開部 産学連携プロモーショングループ 
遠藤麻里

 文系かつ前職は全て民間という私には、一時日本科学未来館を経たものの、ここJSTでの業務はかつてない「専門用語」と「独特の作法」の嵐であり、そして、多大な「責任感」と「焦り」を感じるものでした。ネガティブな言葉を並べてしまいましたが、それは決して辛いということではありません。

JSTフェアCOI  今年3年目を迎える「JSTフェア」というイベントがあります。私達は国立研究開発法人で、「研究開発成果の最大化」を常に求められ、業務に勤しんでいます。そんな私たちにとって、この催事は、イノベーションの先導者であることを目指すJSTの研究開発成果を展示やデモでPRし、実用化に繋げる場であると共に、社会にその存在意義を強く、かつ持続的にアピールできる場でもあります。JSTのほぼ全課室から出展がある他に類を見ないイベントで、昨年は東京ビッグサイトの西ホールで約250ものブースが出展しました。

 私は昨年の開催直前、8月にイベント担当部署である産学連携展開部産学連携プロモーショングループの一員になりました。まだ入社して半年の私でしたが、開催までの半月で、このイベントを通じ浅くではありますが「JSTの使命と事業」を把握し、他部署も拝見する中で機構が背負っているものと可能性を誇りに思ったのを覚えています。

 しかし怒濤のように迎えた本番、一連の業務を終えてほっとしたのも束の間、聞こえてきたのは内部からの「何のための」「誰のための」という言葉でした。今年度の開催意義を問う声さえありました。私にとっては非常に価値のあるイベントであったため、困惑したのを覚えています。
あれから半年、復興イベントなどに関わる中、内部の事情や今のJSTの立たされている立場も見えてきました。その結果、今度は最初から、拙いですが確固たる想いで「JSTフェア」に臨んでいます。

 産学連携プロモーショングループは、広報とはまた違う立ち位置でJSTを内部と外部、双方にプロモートする部署だと考えています。感じている「責任感」とは、その業務を理解し、広く機構を社会の理解を得る方向にもっていきたいという思い。「焦り」とは、それが上手くいっていないのでは、もっと何か方法があるのでは、それができれば空気を変えることができるのでは、という希望に近い思いなのです。

 「JSTフェア」はJSTの最新情報が一堂に会す場です。敷居が高いと思われがちなJSTに直に触れていただける貴重な場、そして、JSTプログラムの支援先がどういう成果を挙げているかを一望していただける、先にも触れましたが唯一無二の非常に良いイベントだと感じています。また、競争的研究資金配分機関である特質なのか、内部にいても隣の部がどのような業務に携わっているか正直わからないという方が多くいらっしゃるのを見てきました。例えば新事業の「未来社会創造事業」は何を目指しているのか、機構のシンクタンク「CRDS」は今何を調査・報告しているのかなど、JST全体や自分が将来関わるかもしれない事業を知り、内部にも希望を持っていただけるような場にしたいと願っています。

JSTフェアポスター

 開催まであと1ヶ月。関係する全ての原課の担当者とお会いして、JSTフェアにかける熱意はやはり様々だなと思います。ただ、今回開催決定当初から関わって、一番感じたのは「伝えたい、良い展示にしたい」という想いを持たない担当者はいないということでした。この想いを形にして社会に届けるために、JSTフェアが原課にとっての成功体験となるように、集客などの業務にも邁進しようと再度決意を新たにしました。

 願わくは、今後とも社会と内部を繋ぐプロモーションに様々な形で関わり、これからも「責任感」と「焦り」を持って続けていきたいと考えています。私のJSTへの志望動機は、正にこれだったのですから。