行列とあるのは間違いで、スレーター行列式です。1)は2電子系のスピンの問題で、1sとあるのは1s軌道を表す波動関数をあらわしています。従って1)は1s2の問題。例えばHeの基底状態など。

1と展開してS(z,total)を作用させる。

 など。 であるから

 のようになる。このとき、1の付いた演算子は、電子1にのみ作用する。2の付いた演算子は電子2のみに作用することに注意する。

結局

  となることが示せる。固有値は0 つまりsingletである。

1s軌道にはPauliの原理からも、上向きと下向きの2個しか入らないので合成スピンが0となることは、直感的にも理解できよう)

 

2)これは1s22sであらわされる3電子系の問題。たとへば、Li原子の基底状態。

となる。1,2,3の演算子は問1)と同じく、それぞれ1, 2, 3の電子にのみ作用することに注意して計算すると、

なので、となる。固有値はつまり、doublet(下向き)である。

              

などである。右辺第一項は問1)から0となることは容易にわかる。